【連載】二日酔いピカレスク ~アルコールに咲く徒花④~

割れ目に咲いた一輪の花

筆者がまだ学生時代のことである。
大学内でよくつるむ仲間が数人いた。

あの頃は覚えたての酒を味も分からぬまま(今もたいして分からないが)ただただ浴び、誰が一番はじけられるかだけを競って呑んでいた。
そう、冗談抜きで毎晩呑んでいた。どれだけ無駄酒を食らっただろう。

大学キャンパス

昼くらいに三々五々キャンパスの溜り場に集まってくる(全員二日酔い)
→食ったほうが酒が早く抜けるからと学食で各自昼食
→動けるわけもなく溜り場で各自睡眠
→17時になった瞬間に誰からともなく居酒屋へ移動
→夜中まで呑み続ける
→5行上に戻る

バイトで抜ける奴もいれば、どうしても外せない授業に出る奴もいるが、基本的にはこれを毎日繰り返す。
ちなみにバイトに行っても帰りにそのまま稼いだ分で呑みに行ってしまうので全く金はないし、当然女性とは無縁の日々。

そんなある日、終電間近でまだまだ呑み足りない我々は、仲間の一人マサの家に行って呑み直そうということになった。

「お邪魔しまーす!」
マサは兄貴と一緒に住んでおり、多少広いとは言ってもこんな酔っ払い達が5人も6人も来たら間違いなく迷惑なのだが、嫌な顔一つせず迎えてくれた。

そこからは呑むわ騒ぐわ脱ぐわの地獄絵図である。
たびたび兄貴からうるさいと怒られる。

宅呑み

そして朝。
寒くて目が覚めた私はハッとする。

全裸である。

寝ぼけまなこをこすりながら周囲を見渡す。
横には同じく全裸となったタケシのケツが。

ん?

タケシのケツに何やら白いものが。
花?

いや違う、ティッシュだ。
ティッシュがあたかも花のように開き、ケツの割れ目に咲いているのだ。

不思議なことに汚いと思うことは一切なく、ただただ私はそのケツに見入ってしまった。
純白の花にしか見えなかった。

そこへマサの兄貴が入ってくる。
目の前には散らかった部屋と雑魚寝する弟たち、そして全裸の男が2人。
しかも1人のケツにはティッシュの花が咲いている。

全裸

一瞬固まる兄貴。

「お、おまえらまさか・・・!」

目を覚ますタケシ。

私と2人、全裸であることに気付くタケシ。

ティッシュに気付くタケシ。

見つめあう私とタケシ。

「お!おい!」
「えっ!ウソだろ!?」

思わず股間を確認する私。

異常(使用した形跡)はない。
混乱する私とタケシ、そしてマサの兄貴。

言っておくが、私にもタケシにもそっちの趣味はない。
しかし何しろ記憶がない。

と、隅のほうでマサが肩を揺らしながら笑いを堪えている。

「おいマサ、お前の仕業か」

一斉にボコボコにされるマサ。

一輪の花

ということで、私とタケシにかけられた濡れ衣は無事に晴れたのである。

しかし後にも先にも、あれより美しい花を私は見たことがない。

ウコン皇子、若き青春の1ページであった。
むろん、その後マサの兄貴に出禁を食らったのは言うまでもない。

ちなみに(私を除き)全員、現在は誰もが知る有名企業で順調に出世している。

※この話の登場人物であるタケシは、前回出てきたタケシとは別人です。
 タケシの嫁さん<前半>
 タケシの嫁さん<後半>